2008年06月16日

笑顔の仙人:南津島の川本さん/3 幻灯機 子供に「温かみ」伝え /福島

笑顔の仙人:南津島の川本さん/3 幻灯機 子供に「温かみ」伝え /福島

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「あ、川本さんだ」「今日は何やってくれるの」。子供たちが次々と川本さんに声をかける。「フランダースの犬がいい」。女の子が元気よく手をあげた。「じゃあ、前にも見たけどフランダースの犬をやるね」と、川本年邦さん(78)は子供たち以上にうれしそうだ。◇ ◇川本さんが大切に持ち続けているものがある。「電気紙芝居」と呼ばれる幻灯機だ。手動でフィルムを1コマずつ動かし、画像を壁に投影する。音は無く、フィルムを回しながらセリフを付ける。1950年代まで流行したが、現在は幻の一品。川本さんは戦後の闇市などで買ったフィルム約150本を所有し、毎月数回、小学校などに出かけ上映会を開いている。先月27日、津島の学童クラブに児童21人が集まり、上映会が開かれた。「おじいさん、あそこに死んだ犬がいるよ」。川本さんのよく通る声が響くと、騒がしかった子供たちが静まり返り、スクリーンをじっと見つめる。暗がりに浮かぶ映像が、川本さんの少年のような語りで、テレビアニメにない優しさをかもし出す。大きな拍手で、「フランダースの犬」の上映は終わった。津島小2年、山崎彩乃ちゃん(7)は「悲しいお話だった。ネロとパトラッシュがかわいそう」と言い、「また来てね」と川本さんに手を振った。◇ ◇川本さんは終戦直後に幻灯と出合った。夜間高校に通っていた時代、近所に住んでいた作家の山本有三と知り合い、使われなくなった幻灯機を譲り受けた。「子供が好きで幼稚園の先生になりたかった」という川本さんは、大工仕事の傍ら、家に近所の子を集め上映会を開くようになった。幻灯の魅力を「温かみがある」と話し、南津島に移住しても活動を続けている。幻灯上映の活動を知った故郷の東京都大田区視聴覚協議会の白子邦昭会長らが昨秋、川本さんを訪ねてきた。16ミリフィルムの映写機を持参し、「役立ててほしい」と川本さんに託した。協議会が解散するためだった。以来、川本さんの活動に16ミリフィルムの上映も加わった。普段は山から出ない川本さんだが、依頼があれば、20キロ近い映写機とフィルムを持って駆けつける。相双地域を中心に児童施設や介護施設などを回り、子供は初めて見る幻灯機に目を輝かせ、高齢者は懐かしんで目を潤ませる。「今時16ミリとか幻灯とか笑われちゃいそうだけど、いいもんですよ」=つづく毎日新聞 2008年6月14日 地方版

[引用元:毎日新聞]


hogehoge500yen at 13:066月です   この記事をクリップ!
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